フリースタイル系BMXメーカーのFBM。
Fat Bald Men(デブ・ハゲ・オヤジども)という個性的なネーミングからも判るとおり、ライダーが運営するインディペンデントカンパニー。
製品にせよ主催するイベントにせよ、大手メーカーとは一線を画し、社長のスティーヴ・クランドールのスタイルが反映されている。この映画は彼の強烈な生き方を・・・いや、待てよ。
「個性」?「自分のスタイル」?「俺の生き方」?
聞きなれた言葉だけど、どういう意味?
既製品のパーツでチョロッとカスタムしたバイクが「個性的」。ファッション雑誌を参考にしたコーディネイトが「自分のスタイル」。あと僕の調査によると引きこもりの98.6パーセントが「俺の生き方」をしているそうです。なんというか子供っぽいな。
いや、「生き方」なんていうのはそもそも青臭いものなのだが、それをどこまでも貫けるかが問題なのだ。クランドール始め出演する人間は年齢に関わらず悪ガキそのもの。大人になれないのと、大人にならないのは違うんだよ。

FBM はBMXレースの会場でのTシャツの押し売りから始まった。
本来広報であるビデオ製作も、酔っぱらってビール瓶を頭で割ったり、電球を喰ったり。とにかくやることが全部メチャクチャだからトラブルの連続。しまいには会社が大火事に・・・これ以上は見てのお楽しみ。
落ち込んだ時に「いつまでもバカやってらんねーしな。」なんて言いながら、でもバカなことをやる。こけてもつまずいても立ち上がる。大人にはならないが成長していく彼等の姿は、まさにパンク。これぞBMX。つまり「俺の生き方」。

「仕事に疲れたデブハゲの中年、そんな大人が商売のためにやってるBMXメーカーとは違うんだぜ、俺様は!」というのがFBMの製品ポリシーである。
同時にこれはクランドール達の生き方を宣言している。大事なのは「スタイル」を言う前に、彼等は自分自身で何でもやるということ。DIYから生れてくる形が個性を生み出し、自然とスタイルになっていく様子が描かれている。
これはBMXのライディングの映画ではない。BMXのスピリットの映画である。そして、自分で何かをしようとか、自分のスタイルを生み出そうとする人を応援する映画だ。
この映画を見たアナタは思わずこう叫ぶはずだ。
「おまえもデブのオヤジやん!」
クランドールはビール腹で二段アゴ。熊のぬいぐるみみたいな可愛い中年で、今はともかくそのうちハゲそうだ。

彼が批判するのは容姿ではない。精神のありようが「デブハゲオヤジ」ではダメだと言っている。死ぬまでかっこいいガキであれと。逆にいえば、オシャレな服を着て、かっこいいバイクに乗って、スタイルがよくて、髪の毛もフサフサしているアナタも、もしかしたら心の中は「デブハゲオヤジ」になっている可能性があるってことだ。もし思い当たるなら是非この映画を見てください。僕は20回以上見ました。
最後に付け加えるなら、サウンドトラックが最高。
Fugazi
研ぎ澄まされた音は、禁欲的なまでにハードコア。これがストレートエッジ。イアン・マッケイは商業主義から距離をとりながらディスコード・レコードというレーベルも運営。FBMのスタイルとも共鳴する。
dischord recordからはLungfishもこのサントラに参加している。
Japanther
BFFでもおなじみジャパンサー。ファンクで薄っぺらくて荒削りなサウンドが気持ちよい。ある意味NYパンクの正統種。ビールをあおりながら聞くべし。
This bike is a pipe bomb
トラブルメーカー「この自転車はパイプ爆弾」。ステッカーを貼ったファンの自転車のせいでメンフィス空港閉鎖→オーナー逮捕。オハイオ大学に停めてたら爆弾処理班が出動→爆破解体。気楽なフォークパンクなのに。
他にもJawbreaker、Lucero、Naked Raygun、Annihilation Time、MNAUT、この映画で初めて聞いバンドだけど、要チェックリストに書き込もう。
(文:タクヤ @メッセンジャーKAZE)
Produced and Directed by
Joe Stakun
DURATION
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